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No.187 February.28, 2022
 
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大興安嶺
 
目 録
ニュース
中国国家知識産権局による専利の電子出願に係る専利証明書発行事項の調整に関する公告(第472号)
2021年、中国のPCT国際特許出願件数が再び世界一に
中国の知的財産権保護に対する外国企業の信頼がさらに高まる
注目判決
技術方案が不明確な特許権の無効化に成功、最高院の支持を得る
最高人民法院が明細書の「十分な開示」の基準を明確化--集佳が代理人を務めた「ジューサー」専利審決取消訴訟で最終勝訴
集佳の視点
中国専利審決取消訴訟プロセスの紹介
 
 
ニュース

 
中国国家知識産権局による専利の電子出願に係る専利証明書発行事項の調整に関する公告(第472号)

 

  中国国家知識産権局は、専利審査サービスの全面電子化を推進し、専利審査承認の「一網通弁(同一ネットワークにおいてすべての手続きを処理すること――訳注)」を実現する。2022年3月1日より、中国国家知識産権局は、紙の専利証明書の申請は受け付けず、当該専利証明書は電子専利出願システムを通じてのみ発行されることになる。電子専利証明書の真正性は、中国専利電子出願ネットワークを通じて検証することができる。

  (出典:中国国家知識産権局)

 
 
2021年、中国のPCT国際特許出願件数が再び世界一に

 

  2月10日、WIPOがジュネーブで発表したデータによると、2021年、中国の出願人がPCTルートを通じて提出した国際特許出願は6万9,500件で、前年比0.9%増加し、出願件数は3年連続で1位となった。

  2021年のPCT国際特許出願件数は増加しており、前年比0.9%増の27万7,500件で過去最高を記録した。 出願件数上位5か国は、中国、米国(59,600件、+1.9%)、日本(5万300件、-0.6%)、韓国(2万700件、+3.2%)、ドイツ(1万7,300件、-6.4%)であった。

  世界PCT国際特許出願人ランキング上位50社には、中国企業が計13社入り、2020年から1社増加した。このうち華為(ファーウェイ)は6,952件の出願で5年連続のトップとなった。世界の教育機関のPCT国際特許出願件数ランキング上位50校には、計19校が入り、2020年から4校増加し、ランキング入りした大学の数が最も多い国となり、第2位は米国(18校)であった。

  技術分野別では、PCT国際特許出願に占める割合はコンピュータ技術(9.9%)が最も多く、次いでデジタル通信(9.0%)、医療技術(7.1%)、電気機械(6.9%)、計測(4.6%)の順となっている。出願件数上位10の技術分野のうち、最も伸びが大きかったのは医薬品で12.8%、次いでバイオテクノロジー(+9.5%)、コンピュータ技術(+7.2%)、デジタル通信(+6.9%)であった。

  このほか、2021年に世界の出願人がマドリッドシステムを通じて提出した国際商標出願は、前年比14.4%増の7万3,100件となり、2005年以降最も大きい伸び率となった。中国は5,272件で、米国(1万3,276件)、ドイツ(8,799件)に次いで世界第3位の出願件数を継続している。

  (出典:中国国家知識産権局)

 
 
中国の知的財産権保護に対する外国企業の信頼がさらに高まる

 

  中国国家知識産権局がこのほど発表した最新データによると、2021年、中国における外国出願人の特許付与件数は前年比23.0%増の11万件、商標登録は前年比5.2%増の19万4,000件であった。このうち、中国における米国の特許付与件数は前年同期比32.1%増、中国での商標登録件数は同17.3%増となった。中国における外国権利者の知的財産権の数は比較的急速な伸びを維持しており、これは外国企業が中国の知的財産権保護とビジネス環境に対して強い信頼感を抱いていることを示している。

  中国国際輸入博覧会と中国国際サービス貿易博覧会における知的財産権侵害の「クレームゼロ」が実現し、知的財産権保護に対する社会的満足度が80.61ポイントまでさらに上昇するなど、2021年の中国の知的財産権保護は目覚ましい効果を上げている。

  WIPOが発表した「グローバル・イノベーション・インデックス 2021 年」(GII)によると、中国は2020年から2ランクアップの12位で、これも過去最高を記録した。中国のイノベーションの水準は継続的に高まっている。2021年末には、人口1万人あたりの高価値特許の中国国内保有件数は7.5件に達し、前年比で1.2件増加した。

  現在、中国の維持期間が長い有効特許は比較的急速に増加しており、イノベーション主体の海外におけるレイアウト能力も継続的に高まっている。2021年末までに、中国国内(香港、マカオ、台湾を除く)の維持期間10年以上の有効特許は、前年比27.7%増の32万3,000件に達し、国内全体の11.9%を占め、第13次5か年計画期間末に比べ0.6ポイント増加した。海外に同じパテントファミリーに属する特許を有する中国の有効特許は、前年比21.8%増の8万3,000件で、その9割近くを企業がイノベーション主体として保有している。

  (出典:中国知識産権資訊網)

 
 
注目判決

 
技術方案が不明確な特許権の無効化に成功、最高院の支持を得る

 

  事件概要:

  2019年3月、北京市集佳法律事務所は北京卓良模板公司の委託を受け、本専利番号ZL201310018684.3、名称「水門溝施工方法および装置」の特許権について無効審判を請求した。無効審判の手続きにおいて、集佳は国家知識産権局に対し、十分に有利な証拠と無効理由があることから、本特許権が権利付与条件に符合しないことを詳細に説明した。国家知識産権局は2019年7月31日に第41305号「無効審決書」を発行し、本特許権を全部無効とした。具体的な理由は次のとおりである。

  請求項1~13で保護を求める技術方案(technical solution)が不明確であり、専利法第26条4項の要件を満たさない。これに相応して、請求項1~13で保護を求める技術方案について、明細書においても明確かつ完全な記述がなされておらず、専利法第26条3項の要件を満たさない。

  特許権者である成都阿朗公司は、この無効審決を不服として、北京知識権法院に審決取消訴訟を提起したが、同法院は2020年7月28日、原告の請求を棄却する判決を下した。

  北京市集佳法律事務所はこのほど、最高人民法院による本件の第二審の終審判決を受け取った。判決は上述の「無効審決」を維持し、本特許権のすべての請求項は専利法26条3項および4項に符合しないことから無効であると認定している。

  弁護士のコメント:

  本件は、専利法26条3項および4項の形式的理由を適用して、特許権の無効化に成功した代表事例であり、無効審判の段階から審決取消訴訟の第一審、第二審に至るまで、集佳は終始一貫して請求項が明確であるか否か、および明細書が明確かつ完全であるか否かを判断する主体は、特許権者自身ではなく、相応の知識と能力を有する当業者でなければならないと主張し、本件についてクライアントが最終的に勝利を得るために助力した。

 
 
最高人民法院が明細書の「十分な開示」の基準を明確化--集佳が代理人を務めた「ジューサー」専利審決取消訴訟で最終勝訴

 

  基本的な事件概要:

  2018年12月、集佳が代理人を務めた、名称「ジューサーのプレスシリンダー構成部品」の中国実用新案に対し、国家知識産権局に無効審判を請求した。無効審判の理由は以下のとおりである。明細書の開示が不十分であること、請求項が明細書によって裏付けられていないこと、請求項に新規性および進歩性を有さないことなどである。口頭審理を経て、国家知識産権局は2019年6月に無効審判請求の審決を下し、次のように認定した。当業者にとって、本件の技術方案は不明瞭であり、具体的に実施できず、実現できない。したがって、本件の請求項に限定された技術方案は、明細書に十分に開示されておらず、専利法第26条3項の要件を満たさない。

  2019年9月、実用新案権者は、上記無効審判請求の審決に対して、北京知識産権法院に審決取消訴訟を提起した。明細書によって「十分に開示されている」か否かの解釈において、無効審判の手続きにおけるものとは全く異なる意見陳述がなされた。開廷審理を経て、北京知識産権法院は、2020年12月に上述の無効審判請求の審決を維持し、原告の訴訟を棄却した。

  実用新案権者は、北京知識産権法院の一審判決を不服とした。 また、2021年初めに、最高人民法院に上訴し、明細書が「十分に開示されている」か否かの解釈において、無効審判の手続きおよび第一審訴訟の手続きのいずれとも異なる意見陳述を提出した。最高人民法院は審理を経て、2021年12月、最終的に上訴人の上訴をすべて棄却し、原審判決および審決を維持する決定を下した。

  事件の評論と分析:

  本件に係る無効審判の手続き、審決取消訴訟の第一審および第二審の手続きにおいて、いずれも問題の焦点は、本件明細書に「ジューサーのジュース排出孔の大きさを調節できる」ことが十分に開示されているか否かに集中した。

  本件の最終判決において、最高人民法院は、明細書が十分に開示されているか否かを判断するにあたり、一般的に明細書は本件の重要な改良点を明確かつ完全に記述していなければならないことをより一層明確にした。明細書に具体的な技術的手段が開示されておらず、かつ明確な指針が示されていない場合、当該の重要な改善点の本質的な機能を実現する根拠となる技術常識または当業者の通常の技術手段は、可能な限り相対的に確定されなければならず、当業者の異なる想像力によってさまざまに異なる方法で実現されるべきではなく、特に実用新案権者が、それぞれの手続きにおいて異なる説明にて解釈を行い、その請求項の保護範囲を拡大させることは認められない。

 
 
集佳の視点

 
中国専利審決取消訴訟プロセスの紹介

 

  一.起訴・立件段階

  1.1 原告の提訴

  無効審決を受けた一方の当事者は、無効審判に係る審査決定の結果に不服があるときは、無効審判請求に係る審決書を受領してから3か月以内に、中国国家知識産権局を被告、他方の当事者を第三者として、北京知識産権法院に専利権無効審決取消訴訟を提起する。

  1.2 法院の立件

  原告が提出した起訴状などの立件書類を受領した後、法院は起訴状の内容と資料を審査し、7日以内に立件登記を行い、原告当事者に事件受理通知書と訴訟費用納付通知書を送達する。法院は、立件の日から5日以内に、起訴状の副本を被告人および第三者に送付しなければならない。被告は、起訴状の副本を受領した日から15日以内に、答弁書および証拠書類を法院に提出しなければならない。人民法院は、答弁書を受領した日から5日以内に、答弁書の副本を原告および第三者に送付しなければならない。

  二.事件の審理段階

  2.1 証拠の提出

  各当事者は、法院が送達した立証通知書の受領後、法院が指定した期間内に証拠を提出することができる。通常、被告である国家知識産権局は、答弁意見と無効審決の根拠となる証拠、すなわち、無効審判請求人が無効審判を請求した時に提出した証拠を法院に提出し、第三者は事件の状況に基づいて第三者意見陳述を提出し、必要があれば証拠も提出する。立証時に特別な困難がある当事者は、法院に立証期間の延長を申請することができ、申請時に立証期間の延長申請書(紙媒体)を提出する。

  2.2 開廷審理

  事件の状況に応じて、法院は事件審理の開廷期日を決め(コロナ感染拡大のため、北京知識産権法院は、特別な事件や当事者の要請がある場合を除き、通常はオンライン法廷審問の方式により遠隔で事件審理を行う)、事件の事実について全面的な調査を行い、各当事者の意見を聴取する。各事件の状況に応じて、当事者は、法廷審問の状況に基づき、法廷審問終了後、指定された期日までに代理意見を提出することができる。具体的な期日は合議体の通知による。

  三.一審判決の段階

  実際には、外国専利審決取消訴訟の第一審事件の審理期間は一般に約1年半前後であり、合議体は、事件の関連証拠と当事者の意見陳述に基づき判決を下す。第一審の法院の判決に不服がある場合、外国当事者は判決文の送達日から30日以内に、その他の当事者は判決文の送達日から15日以内に上訴することができる。当該事件の第二審は最高人民法院知的財産権法廷により審理される。

  上記は、当方の日常的な事件処理の経験および関連法律の規定に基づきまとめたものであり、事件の実際の審理状況は上記の内容と異なる場合がある。

  北京市集佳法律事務所

  2022年2月25日

  付録:参考法律条文

  《中華人民共和国専利法》(2021年6月1日より施行)

  第46条 第2項 国務院専利行政部門の専利権無効審判又は専利権維持の決定に対して不服である場合には、通知受領日から3か月以内に人民法院に提訴することができる。人民法院は無効審判の手続きを行った相手方当事者に、第三者として訴訟に参加するよう通知しなければならない。

  《中華人民共和国行政訴訟法》(2017年7月1日より施行)

  第36条【被告の証拠提供期間の延長と証拠の補充】 被告が行政行為をする時に証拠を収集したが、不可抗力等の正当な事由により提供できない場合は、人民法院の許可を得て、証拠提供期間を延長することができる。

  原告又は第三者が行政処理の手続きにおいて提出しなかった理由又は証拠を提出する場合には、被告は人民法院の許可を得て、証拠を補充することができる。

  第51条【立件登記】 人民法院は、起訴状を受理したときに本法の定める訴訟要件に符合するものについては、立件登記しなければならない。

  本法の定める訴訟要件に符合するか否かをその場で判定することができない場合は、起訴状を受理し、受理日時を明記した書面の証明書を発行しなければならず、かつ 7日内に立件するか否かを決定する。訴訟要件に符合しない場合には、立件しない旨の裁定を下す。裁定書には、立件しない理由を明記しなければならない。原告が裁定を不服とする場合には、上訴を提起することができる。

  第67条【起訴状の発送と答弁書の提出】 人民法院は、立件日から5日以内に、起訴状の副本を被告に発送しなければならない。被告は、起訴状の副本を受理した日から15日以内に、人民法院に対し行政行為をした証拠及びその依拠する規範性文書を提出し、かつ答弁書を提出しなければならない。人民法院は、答弁書を受理した日から5日以内に、答弁書の副本を原告に発送しなければならない。

  被告が答弁書を提出しない場合も、人民法院が審理することを妨げない。

  第85条【上訴】 当事者が人民法院の一審判決に不服である場合には、判決書が送達された日から15日以内に直近上級の人民法院に上訴する権利を有する。当事者が人民法院の一審裁定に不服である場合には、裁定書が送達された日から10日以内に直近上級の人民法院に上訴を提起する権利を有する。期間を徒過しても上訴を提起しない場合には、人民法院の一審判決又は裁定は法的効力を生じる。

  第101条【民事訴訟法の規定の適用】 人民法院は、行政事件を審理するにあたり、期間、送達、財産の保全、開廷審理、調解、訴訟の中断、訴訟の終結、簡易手続き、執行等、及び人民検察院による行政事件の受理、審理、裁定、執行に対する監督に関して、本法に定めのない場合は、《中華人民共和国民事訴訟法》の関連規定を適用する。

  《中華人民共和国民事訴訟法》(2022年1月1日より施行)

  第267条 中華人民共和国領域内に住所を有しない当事者で、第一審の人民法院の判決・裁定に不服がある場合には、判決書・裁定書が送達された日から30日以内に上訴する権利を有する。被上訴人は、訴状の副本を受領した後、30日以内に答弁書を提出しなければならない。当事者が法定期間内に上訴又は答弁書を提出することができず、延長を申請した場合には、これを許可するか否かは、人民法院が決定する。

  第277条 人民法院が外国民事事件を審理する期間は、本法第152条、第183条の規定の制限を受けない。

  《最高人民法院による〈中華人民共和国行政訴訟法〉の解釈》(2018年2月8日より施行)

  第34条 行政訴訟法第36条第1項の規定に基づき、被告が証拠提出期間の延長を申請する場合は、起訴状の副本を受理した日から15日以内に書面で人民法院に提出しなければならない。人民法院が延長を認めた場合には、被告は正当事由の消滅後15日以内に証拠を提出しなければならない。期間を徒過して証拠を提出した場合は、訴えられた行政行為に相応する証拠がないものとみなす。

  第35条 原告又は第三者は、法廷審理の前又は証拠リストの交換のために人民法院が指定した日に証拠を提出しなければならない。正当な事由により証拠提出期間の延長を申請する場合は、人民法院の許可を得て法廷調査中に提出することができる。期間を徒過して証拠を提出した場合には、人民法院はその理由を説明するよう命じなければならない。理由の説明を拒否し、又は理由が成立しない場合は、立証の権利を放棄したものとみなす。

  第36条 当事者が立証期限の延長を申請する場合、立証期限満了前に人民法院に書面による申請を提出しなければならない。

  申請理由が成立した場合には、人民法院はこれを許可し、立証期限を適切に延長し、かつ他の当事者に通知しなければならない。 申請理由が成立しない場合には、人民法院は申請を許可せず、かつ申請者に通知する。

  《最高人民法院による専利の権利付与・権利確定の行政事件の法律適用に関する若干問題の規定(一)》(2020年9月12日より施行)

  第28条 当事者が、関連の技術内容は技術常識であり、又は関連の意匠の特徴が慣用設計であると主張する場合には、人民法院はその当事者に対し、証拠を提供して証明を行い、又は説明するよう求めることができる。

  第29条 専利出願人、専利権者が専利の権利付与・権利確定の行政事件において新たな証拠を提供し、専利出願が拒絶されるべきでないこと、又は専利権は有効を維持すべきであることを証明するために用いる場合には、人民法院は通常これを審査しなければならない。

  第30条 無効審判請求人が専利の権利確定の行政事件において新たな証拠を提供した場合には、人民法院は通常これを審査しない。ただし、次の各号に掲げる証拠はこの限りでない。

  (一)専利無効審判請求の審査手続きにおいてすでに主張した技術常識又は慣用設計を証明するための証拠  

  (二)当業者又は一般消費者の知識水準及び認知能力を証明するための証拠  

  (三)意匠登録製品の設計空間又は従来設計の全体的状況を証明するための証拠  

  (四)専利無効審判請求の審査手続きにおいてすでに採用された証拠の証明力を補強するための証拠  

  (五)その他の当事者が訴訟において提供した証拠に反論するための証拠