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No.183 October.28, 2021
 
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江西廬山
 
目 録
ニュース
WIPO年次報告書 中国が多くの項目で知的財産権出願件数世界トップに
中国国家知識産権局が2021年日米欧中韓商標五庁オンライン会合を主催
中国とシンガポールの知識産権局長官がオンライン会議を開催
注目判決
安徽省馬鞍山市市場監督管理局が「 」などの商標権侵害事件を摘発
上海市浦東新区知識産権局が“BORDEAUX” 地理的表示の侵害事件を摘発
江蘇省張家港保税区市場監督管理局が「EagleBurgmann」、「GRUNDFOS」、「格蘭富」などの商標権侵害事件を摘発
 
 
ニュース

 
WIPO年次報告書 中国が多くの項目で知的財産権出願件数世界トップに

 

  世界知的所有権機関(WIPO)は先日、年次報告書「世界知的財産権指標」を発表した。それによると、2020年の世界の知的財産権出願件数は多くの項目でいずれも減少から増加に転じ、成長傾向が戻りつつあった。なかでも中国国家知識産権局で受理されたものは150万件で首位を独占していた。世界の有効特許数は2020年に5.9%伸びており、中国が所有する有効特許数は310万件で最も伸びていた。レポートによると、2020年の世界の商標出願件数はおよそ1,340万件と11年連続の増加で、中国の商標登録件数はおよそ930万件で世界トップであった。

  工業意匠について報告書では次のように指摘している。2020年、世界でおよそ110万件の工業意匠の出願があったが、これには140万項目の意匠が含まれており、年間同期比2%の増加となった。2020年、中国国家知識産権局が受理した出願のうち、意匠は77万362項目で世界全体の55.5%を占めていた。

  92の国と地域の主管部門のデータによると、2020年には計5万8,800件の有効な地理的表示が保護された。このうち、ドイツが報告した有効な地理的表示は1万4,394件で、その次が中国の8,476件であった。

  中国の知的財産権事業は質の高い発展の段階に入っており、まさに知的財産権の導入大国から創造大国への転換を遂げつつあり、知財業務も数を求める段階から質を高める段階へと急速に変化しつつある。

  (出典:中国知的財産権報WeChat)

 
 
中国国家知識産権局が2021年日米欧中韓商標五庁オンライン会合を主催

 

  中国国家知識産権局主催の2021年日米欧中韓商標五庁(TM5)会合が11月3日から5日にかけてテレビ会議形式で開催された。中国国家知識産権局の申長雨長官が開幕式に出席、挨拶を述べた。欧州連合知的財産庁のChristian Archambeau長官、日本国特許庁商標・審査業務部の川上一郎部長、韓国特許庁・デザイン審査局の睦盛皓(ユク・ソンホ)局長、及び米国特許商標庁のDavid Gooder商標局長がそれぞれ代表団を率いて出席した。また、世界知的所有権機関(WIPO)の王彬穎事務次長とブランド・意匠部門のMarcus Höpperge rシニアディレクターがオブザーバー参加した。この会議で五庁は「2021年日米欧中韓商標五庁協力に関する共同声明」の内容に合意した。

  「2021年日米欧中韓商標五庁協力に関する共同声明」では、新型コロナの影響が続く中でも五庁が協力して課題に取り組み、デジタル化と新興技術分野の協力を深め、ブランド育成を促進し、商業発展と経済回復を推し進めるという決意が示された。同声明は各庁での承認後、対外発表される。

  (出典:中国国家知識産権局政務WeChat)

 
 
中国とシンガポールの知識産権局長官がオンライン会議を開催

 

  中国国家知識産権局の申長雨長官とシンガポール知的財産庁の陳恵菁長官が11月2日、オンライン会議を実施した。双方は近年の二国間協力における主な進展を振り返り、今後もさらに協力を深めていくことについて意見を交わした。

  申長雨長官は次のように述べた。「中国・シンガポール当局は長きにわたり成果に富む協力を展開してきた。新型コロナウイルス感染症の感染拡大後は革新的な協力方法で積極的に意思疎通を図り、ハイレベル交流や特許審査ハイウェイ(PPH)試行プロジェクト、人材育成、及び中国・シンガポールの広州知的財産城の建設などの面で大きな成果を収めてきた。両庁が今後も国家知財戦略、人工知能の知財保護といった分野で交流と協力を深め、共に両国の知財事業の発展を推し進めていくことを希望する。」

  また、陳恵菁長官は、シンガポールとしても中国とそれぞれの優れた案件を共有し、双方が特許審査の実務や知財研修といった面で協力と交流を深め、両国の知財事業の発展にさらなる貢献を果たしていくことを期待したいと述べた。

  (出典:中国国家知識産権局政務WeChat)

 
 
注目判決

 
安徽省馬鞍山市市場監督管理局が「 」などの商標権侵害事件を摘発

 

  事件の概要:

  第753230号商標「 」、第 639160号商標「 」、第1239101号商標「 」はいずれもMeelunie社が食用のジャガイモ粉やトウモロコシ粉などを指定商品とする登録商標であり、その商標権の更新期限はそれぞれ2025 年6月27 日、2023年4月27日、そして2029 年1月13日であった。

  2019年6月10日、安徽省馬鞍山市市場監督管理局は訴えに基づき、馬鞍山上嘉食品有限公司(以下と「上嘉社」いう。)を検査した。その結果、上嘉社は 2018 年 9 月から「 」ブランドの片栗粉を製造しており、上述の製品で使用していた商標がMeelunie社の登録商標と類似していることが分かった。

  2019年8月7日、安徽省馬鞍山市市場監督管理局は上嘉社が同種の商品においてMeelunie社の登録商標と類似した商標を使用しており、混同を招きやすい状況にあったことから、《中華人民共和国商標法》(以下、《商標法》とする)第五十七条第二号で定める権利侵害行為にあたるとし、《商標法》第六十条第二項に基づき、上嘉社に対して直ちに権利侵害行為をやめるよう命じ、権利侵害商品と主に権利侵害商品の製造に用いられていた未使用の包材を没収、罰金150万4,000人民元の行政処罰を科した。

  上嘉社はこの行政処罰の決定を不服とし、前後して不服申立てと行政訴訟を提起した。馬鞍山市人民政府と馬鞍山市雨山区人民法院はいずれも2/16の行政処罰の決定を維持するとした。2020 年10月28日、馬鞍山市中級人民法院は最終審で上訴を退け、原判決を維持する判決を下した。2020年12 月30 日、安徽省高級人民法院は上嘉社による再審請求を棄却した。

  専門家のコメント:

  当事件の商品は食品であり、事件の取締りによって権利侵害食品の市場流入を効果的に阻止し、「食の安全」を守ることができた。当局による判断は正しく、今回の類似商標に関する判断は同様の事件にも参考になろう。当事件は不服申立てと行政訴訟を経て、行政処罰の决定が最終的に司法機関の支持を得ることとなった。これは良好なビジネス環境の創出や外資系企業による我が国への投資意欲を高める上で重要な意義がある。(中華商標協会事務局長 呉東平)

 
 
上海市浦東新区知識産権局が“BORDEAUX” 地理的表示の侵害事件を摘発

 

  事件の概要:

  第19564618号商標「BORDEAUX」はボルドーワイン委員会がワイン商品について登録している地理的表示の団体商標で、その権利の更新期限は2027年7月20日である。

  2019年4月25日、上海市浦東新区知識産権局は成都市市場監督管理局からの通報により以下の手がかりを得た。上海菲桐貿易有限公司(以下「菲桐社」という。)は全国糖酒商品交易会において商標「BORDEAUX」の権利侵害が疑われるワインを出展した。検査の結果、菲桐社は2018 年 7 月より煙台奥威依曼酒業有限公司に「BURKE LAFAEL」シリーズの赤ワインの製造を委託、ボトル、キャップ、ボトルラベル、内箱・外箱などの材料が提供していた。このうち、ボトルラベルについては菲桐社がサンプルを提供して深セン市大衛福音包装設計印刷有限公司に設計と生産を委託後、煙台奥威依曼酒業有限公司に納品され、貼付けが行われていた。菲桐社はワインボトルのラベルにおいてみだりに「BORDEAUX」の表記を使用しており、その違法行為による被害総額は38万5,900人民元であった。

  検査機関は、菲桐社による上述の権利侵害商品を製造販売する行為は《商標法》第五十七条第一号で定める権利侵害行為にあたるとした。当事件では関係する商品の数が多く、被害金額も大きいことから、すでに刑事訴追の基準に達しており、検査機関は同事件を公安へ移送している。

  2020年6月4日、上海市浦東新区人民法院は法に基づいて刑事判決を下し、被告人である菲桐社については登録商標冒用罪にあたるとして罰金10万元に処した。被告人の諸葛某(菲桐社の実際の経営者)については登録商標冒用罪にあたるとして、懲役1年6个月、執行猶予1年6个月、罰金5万元に処した。押収した商標冒用のワインは没収となった。被告人の諸葛某については執行猶予期間内に食品の製造、販売、及び関連の活動に従事することを禁止した。

  専門家のコメント:

  地理的表示とは特定地域にとって貴重な資源であり財産である。地理的表示を偽造した商品を製造販売することは地理的表示のイメージを著しく傷つけ、特定地域の生産者の競争優位性などの合法的な権益を著しく侵害するものである。地理的表示の保護は、我が国の知的財産権保護に係る国際条約義務の履行を体現するものであり、また、我が国が農村振興戦略を推進する上でも重要な取り組みである。《刑法》第二百一十三条の登録商標冒用罪の侵害の客体には団体商標と証明商標は含まれてないと見る向きもある。だが、当事件の取締りによって、実証的な面から地理的表示の団体商標が登録商標冒用罪の侵害の客体になることが明確になった。そして、我が国が国内外問わず地理的表示の商標を「平等に守る」ことが体現されたほか、我が国の商標行政にかかわる法執行のための地域間協力メカニズムが有効に運用され、商標にかかる行政法執行と刑事司法とが効果的に連携されていることが示された。(江西省撫州市人民代表大会法制工作委員 黄璞琳)

 
 
江蘇省張家港保税区市場監督管理局が「EagleBurgmann」、「GRUNDFOS」、「格蘭富」などの商標権侵害事件を摘発

 

  事件の概要:

  第G913774号商標「EagleBurgmann」はEAGLEBURGMANN GERMANY GMBH&CO.KGが機械部品やポンプ、圧縮機のシール用設備などを指定商品とする登録商標であり、その権利の更新期限は2026年8月25日である。第13760797号商標「GRUNDFOS」はGRUNDFOS HOLDING A/kSがポンプ(機器、エンジンまたはモーター部品)などを指定商品とする登録商標であり、その権利の期限は2025年8月20日である。第7652880号商標「格蘭富」は格蘭富水泵(上海)有限公司がベアリング(機械部品)、機械シール部品を指定商品とする登録商標であり、その権利の期限は2025年10月20日である。

  2020年6月9日、商標権者からの訴えに基づき、江蘇省張家港保税区市場監督管理局は公安部門と共に管轄エリア内の機械シール部品の製造販売を行う企業13社に対して立入検査を行った。その結果、現場で5/16 「EagleBurgmann」、「GRUNDFOS」、「格蘭富」などの商標権を侵害している各規格のシール部品計200余件、パッケージ1,000余件、偽造されたラベルと合格証3万余件、さらに登録商標の偽造に使われていたレーザープリンター5台を発見し押収したほか、事件に関係しているパソコン20余台を押収、その被害額は659余万人民元となった。その後、法執行担当者が現場で発見、押収した取引に関する手がかりをもとに、海口、長沙、岳陽などの地を訪れて事件に関係している企業の調査や証拠収集を行い、偽造品の製造販売拠点の摘発に成功した。

  検査当局は事件に関係のある企業について《商標法》第五十七条第一号、第二号、第三号が定める権利侵害行為があったとし、《商標法》 第六十条第二項の規定に基づき、権利侵害商品を没収、廃棄し、事件に関係した企業に対して計1,034万9,200人民元の罰金を科したほか、犯罪の疑いがある企業6社の当事者7名について法に基づき公安機間に移送した。同事件終結後、在上海ドイツ総領事館と在上海デンマーク総領事館がそれぞれ書簡を送り謝意を表した。

  専門家のコメント:

  当事件は権利侵害商品の製造、加工、販売などのチェーン全体に及んでおり、法執行機関による個別事件の調査・内偵から、管轄エリア内の同業種に対する集中調査、そして全国の多くの省との合同取締りにまで発展、最終的に偽造品の製造販売拠点の摘発に成功した。当事件は関係する地域が広範囲に及び、関係する企業や商標も多く、事情も複雑であったことから、行政の法執行部門は地域を超えて連携し、チェーン全体での取締りを行ったほか、さらに公安機関とも緊密に協力し、行政保護の強みを存分に体現することとなった。 (江蘇商標品牌研究中心主任 徐升権)