案件の概要:
係争商標の第3395922号商標「 」は、宝海醸造株式会社が2002年12月6日に第33類「梅酒、焼酎、米酒、酒(リキュール)、リンゴ酒、スパークリングワイン、ウイスキー、五加皮酒、ワイン、清酒、白酒」などを指定商品として登録を出願した。
Visa社は同社が先に登録した第16類「印刷銀行カード、旅行小切手」などの商品上の商標「 」および第36類「クレジットカードと借貸卡(デビットカードとクレジットカードの両方の機能を持つ銀行系カード)役務、旅行小切手役務」などの役務上の商標「 」を引用し、係争商標に対して法により異議申立てを行った。旧商標局は係争商標に対して登録を許可する旨の裁定を下した。Visa社はこれを不服として審判請求をしたが、旧商標評審委員会は審査を経て、Visa社の主力事業は係争商標が指定する白酒などの商品と比べて違いが比較的大きく、既存の証拠では係争商標の登録と使用により関連の消費者の商品の出所に対する誤認・混同が生じやすくなることによりVisa社の利益に損害をもたらすことを証明するには不十分であると判断し、係争商標の登録を許可する旨の裁定を下した。
Visa社は当該異議不服審判の裁定を不服とし、法により北京市第一中級人民法院に審決取消訴訟を提起した。北京市第一中級人民法院は次のように判断した。証拠ではVisa社の2件の引用商標が係争商標の出願日以前にすでに中国大陸地域において公衆に広く認知され、馳名商標とされる程度に達していることを証明するには不十分である。馳名商標の認定は需要に基づき行い、個別案件でのみ有効とする原則に従うものであり、関連の「VISA」がこれまでに馳名商標の認定を受けた以前の有効な判決において認定された事実と本件との間に違いが存在することから、本件商標が馳名商標を構成するための当然の根拠とすることはできない。これに基づき、一審判決では当該異議不服審判の裁定が維持された。
集佳弁護士事務所はVisa社の委託を受け、その代理人として北京市高級人民法院に上訴し、本件二審訴訟において、国家図書館の検索報告書や関連の判例などを含め、係争商標の出願日以前の「VISA」商標の知名度などに関する証拠を重点的に収集し、二審法院に提出した。
二審判決:
二審では北京市高級人民法院が審理の後に次の内容の最終判決を下した。案件証拠は係争商標の出願日以前に、Visa社の上述の2件の引用商標がすでに中国国内で馳名商標とされる程度に達していることを証明することができる。係争商標の顕著な識別部分である「VISA」は、2件の引用商標と文字構成、意味、呼称および全体的な視覚効果などの面で類似し、すでに2件の引用商標に対する複製、模倣を構成している。係争商標が指定する「焼酎」などの商品は日用消費財に属し、引用商標が指定する商品、役務との間で消費者層の中で密接に繋がっており、容易に関連公衆に係争商標と引用商標の登録出願人の間に相当程度の繋がりがあるものと認識させ、商品の出所に対して誤認・混同を生じさせることにより、Visa社が馳名商標に対して有する利益が損なわれる可能性がある。以上より、二審判決では一審判決および当該異議不服審判の裁定を取り消し、現国家知識産権局に対して改めて裁定を下すよう命じた。
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