基本概要:
淮安市海潤石化有限公司は2005年6月6日に第4類の「工業用油、エンジンオイル、乳化油;ホワイトオイル、溶剤オイル、潤滑油、燃料油」などを指定商品として係争商標の登録出願をし、2008年11月14日に登録が許可された。
淮海控股集団有限公司(以下、淮海公司と称す)は第12類「電動自転車、電動三輪車、オートバイ」商品上の第4489518号商標「淮海HUAIHAIおよび図」と第12類「三輪車」商品上の第313958号商標「淮海HUAIHAI江蘇徐州および図」を先に登録している証拠を引用し、係争商標に対して無効審判を請求した。
旧商標評審委員会の審査後、係争商標と引用商標は同一または類似の商品で使用する近似商標であることから、係争商標を無効の裁定を下した。海潤公司はこの裁定を不服とし、北京知識産権法院に行政訴訟を提起し、裁定の取消しを求めた。北京知識産権法院は審理を経て、係争商標は文字「淮海」からなり、完全に二つの引用商標を含み、近似商標となっているが、係争商標の使用が認められた「工業用油、潤滑油」などの商品は引用商標の使用が認められた商品と機能、用途、販売経路、消費対象などの面で比較的大きな違いがあり、類似の商品を構成しないと認定した。一審判決は、裁定を取り消し、係争商標の有効性を維持した。淮海公司は北京市高級人民法院に上訴し、その後、二審法院は一審判決維持の判決を下した。
淮海公司は二審判決を不服とし、最高人民法院に再審を請求し、集佳弁護士事務所に代理として再審訴訟への参加を依頼した。集佳の弁護士の関連証拠の収集と論述により、最終的に最高法院が受け入れる結果となった。
法院判決:
一審、二審法院は、係争商標が指定商品とする第4類潤滑油、エンジンオイルと淮海公司の二つの引用商標の指定する第12類三輪車、オートバイなどの商品は類似商品を構成しないため、旧商標法28条に違反しないと判断した。最高法院は審理を経て、潤滑油、エンジンオイルは三輪車、オートバイの備品であり、しばしばオートバイ部品市場または自動車修理工場で販売されており、両者には一定の関連性があると判断し、類似商品であると認定し、一審、二審判決を取り消し、旧商標審査委員会の下した係争商標に対する無効審判の裁定を維持する判決を下した。
典型事例の意義:
本案件の再審判決は係争商標と引用商標が類似商品上の近似商標を構成しているか、および関連公衆の誤認・混同を招きやすいかを判断するとき、一般的に考慮すべき商標標章の近似の程度、商品の類似の程度のほか、さらに引用商標の識別性と知名度、係争商標の出願者の主観的意図などの要素を考慮しなければならないことを明確にした。そのうち、商品の類似の程度については、関連商品が「類似商品・サービス区分表」の異なる類別に属する商品であっても、組み合わせて使用する関係があり、機能、用途、消費対象、販売経路などの面で高い関連性があれば、類似商品に属すると認定するべきである。
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