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No.170 September.28, 2020
 
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麗江
 
目 録
ニュース
WIPO、世界の知的財産関連の司法判断の無料データベースを公開
中国とEUが「中国・EU地理的表示協定」を正式に締結
中国国家知識産権局とハンガリー知的所有権庁、了解覚書の更新を締結
中国国家知識産権局とポーランド特許庁、「中国・ポーランド連絡担当者体制」試行プロジェクトをスタート
注目判決
集佳が代理を務める捜狗(Sogou)が、百度(バイドゥ)の「タッチ操作」特許に全部無効の審決
集佳がテクノジムに協力し、意匠権侵害紛争で全面勝訴
集佳が代理を務める「Lafite(拉菲)ワイン」が、「拉菲オートミール」の阻止に成功
 
 
ニュース

 
WIPO、世界の知的財産関連の司法判断の無料データベースを公開

 

  技術革新の速度が立法機関や政府による新規制、新条例の制定能力を上回ることが多く、世界各地の裁判所は高度に複雑な共通の問題に直面することが増えてきていることから、世界知的所有権機関(WIPO)はWIPO-Lex Judgments を発表した。

  WIPO-Lex Judgments は、加盟国の関連所管部門より厳選された判決文を提供しており、これらの判決文は、加盟国の管轄範囲内の知的財産法に前例を示し、説得力のある解釈を提供している。WIPO Lexus-Judgments は公開時点で10か国から400件以上の文書を収録している。

  また、WIPO Lexus-Judgments は、加盟国の知的財産権紛争における司法構造に関する情報も提供している。WIPO Lexus-Judgmentsは、WIPO Lex が提供する内容をさらに充実したものである。

  (出典:WIPO公式サイト)

 
中国とEUが「中国・EU地理的表示協定」を正式に締結

 

  中国の習近平国家主席は9月14日夜、北京で、EU議長国であるドイツのメルケル首相、ミシェル欧州理事会常任議長、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長との共同ビデオ会議を開催した。中国とEUの首脳は「中国・EU地理的表示保護協定」の正式調印を発表した。

  中国・EU間で締結されたこの地理的表示保護協定は、中国が対外的に締結した初の包括的かつハイレベルの地理的表示保護協定であると報じられている。この協定により、中国・EU双方で各275件、合計550件の誰もが知る、有名な地理的表示について大規模な相互承認が実現される。

  注目すべきは、今回中国側が協定リストに組み入れた地理的表示には、酒類、茶葉、農産物、食品等だけでなく、中国の伝統文化を代表する宣紙、蜀錦などの中国の特色ある地理的表示が含まれていることである。これまで、EUが対外的に締結した地理表示協定に含まれていたのは、農産物、食品、酒類のみであり、今回のような地理的表示が同協定に含まれるのはEU初のケースとなる。

  (出典:中国国家知識産権局)

 
中国国家知識産権局とハンガリー知的所有権庁、了解覚書の更新を締結

 

  中国国家知識産権局とハンガリー知的所有権庁はこのほど、文書交換方式による「中華人民共和国国家知識産権局とハンガリー知的所有権庁の了解覚書」の更新を締結した。

  今回の覚書の規定により、中国とハンガリー両局/庁の協力範囲は、従来の特許(実用新案、意匠も)分野から、特許、商標、地理的表示と集積回路設計を含む各種の知的財産権にまで拡大された。また、知的財産権保護、運用促進、公共サービスおよび特許、商標審査の実践と審査基準における交流と協力が追加された。

  (出典:中国国家知識産権局ウェブサイト)

 
中国国家知識産権局とポーランド特許庁、「中国・ポーランド連絡担当者体制」試行プロジェクトをスタート

 

  中国国家知識産権局とポーランド特許庁は、このほど協議を経て、「中国・ポーランド連絡担当者体制」試行プロジェクトの共同実施を決定した。

  中国・ポーランド両局/庁は、それぞれ知的財産権連絡担当者を1名ずつ任命し、中国企業のポーランドでの業務展開と、ポーランド企業の中国での業務展開における知的財産権問題に関するコンサルティングサービスを提供し、両国の企業が知的財産権の効果的な保護を得ることができるように支援する。

  プロジェクトの実施期間中、中国企業は関連の問い合わせがあれば、中国国家知的財産権局の知的財産権連絡担当者に連絡することができる。連絡方法は次のとおり。

  連絡担当者:趙清

  電子メールアドレス:zhaoqing@cnipa.gov.cn

  ポーランド企業は関連の問い合わせがあれば、ポーランド特許庁の知的財産権連絡担当者に連絡することができる。連絡方法は次のとおり。

  連絡担当者:Ms.Sylwia CAPIGA-WILEWSKA

  電子メールアドレス:Sylwia.Capiga-Wilewska@uprp.gov.pl

  「中国・ポーランド連絡担当者体制」試行プロジェクトは、2020年10月1日から2021年9月30日までの1年間実施される。

  (出典:中国国家知識産権局ウェブサイト)

 
注目判決

 
集佳が代理を務める捜狗(Sogou)が、百度(バイドゥ)の「タッチ操作」特許に全部無効の審決

 

  集佳が代理を務めるSogou社がバイドゥ社に対して提起した特許番号第ZL 201110421574.2号の名称「携帯端末上でユーザーにタッチ操作を促す方法及びクライアント端末」特許無効審判請求に対し、国家知識産権局はこのほど、「無効審判請求審決書」を発行し、特許を全部無効とする審決を下した。

  事件の概要:

  係争特許は、2016年、バイドゥ社より特許侵害の疑いの申し立てがあったSogou社の入力方法における10項目の権利基盤の1つであり、係争特許の初回の無効審判請求で敗北した後、Sogou社は、係争特許の2回目の無効審判請求を集佳に依頼した。集佳特許無効訴訟チームは、分析・スクリーニングを経て今回の無効の証拠を次のとおり確定した。

  証拠1:公証を経た、智友フォーラムで公開されたゲーム「捕魚達人」V1.2版のガイド動画

  証拠2:中国台湾宏碁(エイサー)社、特許番号CN101349944A

  証拠3:中国台湾HTC社、特許番号US20090285383A1

  証拠4:中国台湾の威盛(VIAテクノロジーズ)社、特許番号CN101819505A

  証拠5:韓国LG電子株式会社、特許番号CN1855021A

  証拠6:中国台湾英業達(Inventec)社、特許番号CN102073439A

  証拠7:米国Apple社、特許番号CN101697181A

  証拠8:日本富士通株式会社、特許番号CN1472670A

  証拠9:米国Microsoft社、特許番号CN102067079A

  証拠10:公証を経た、優酷(Youku)、捜狐(Sogou)、土豆(Tudou)サイトで公開されている「iPhone 3GS公式中国版利用ガイド動画」

  証拠11:中国華為(ファーウェイ)社、特許番号CN101986251A

  上述の既存の技術証拠に基づき、集佳は係争特許を全部無効にすべき具体的な理由と証拠の説明を提出した。

  決定のハイライト

  ハイライト1:ネットワーク上の証拠の認容性について

  合議体は次のとおり判断した。

  (1)ネットフォーラムの場合、そのネットワークの情報の信頼性、影響力、伝播効率等、他の要素が公信力を大きく左右する。智友フォーラムは、業界内で規模が比較的大きい第三者Android交流フォーラムであり、登録ユーザー数と投稿量が多く、中国地区でのアクセスは上位に位置している。特許権者が主張する、フォーラム所属企業が侵害にかかわり、または行政処分を受けたことによりその公信力が低下したという理由は成立しない。

  (2)証拠1のソフトウェアは請求人が公証機関の監督公証のもとに適法にダウンロードして入手したものであり、「最高人民法院による民事訴訟証拠に関する若干の規定」の除外すべき状況には該当しない。

  ハイライト2:インターネット証拠の公開性の認定について

  合議体は次のとおり判断した。

  投稿者が返信件数を増やす目的で投稿をスレッド表示に設定する方法は、各種フォーラムで一般的に使用される投稿様式であり、こうした様式は公衆がその内容を取得する障害にならず、投稿内容の公開性に実質的な影響を与えることもない。

  ハイライト3:ネットワーク証拠公開時間の認定について

  合議体は次のとおり判断した。

  無効審判請求人によるフォーラム投稿規則の修正に関する検証:公開済みの投稿を修正すると、最終編集時刻が表示されるため、証拠1に表示された時刻が投稿の最後の編集時刻であることが証明され、その内容の公開時刻であるとみなすことができる。2011年のフォーラム規則が2018年の規則と異なる可能性があるという特許権者の主張は認められない。

  ハイライト4:進歩性に関するコメント

  合議体は次のとおり判断した。

  まず、請求項1と証拠3の相違点は次のとおりである。(1) タッチガイド情報の内容が異なる。請求項1はタッチガイド動画を表示し、証拠3はタッチガイド情報を表示している。(2) 証拠3は、請求項1で限定された複数のタッチプロンプトイベントのうちの1つを開示している。

  次に、その相違点(1)について、証拠1「捕魚達人」のゲーム操作デモ動画は、タッチガイド情報をアニメーション形式で表示することが開示されており、さらには、ユーザーが行った特定のタッチ操作に基づいてアニメーションの再生が停止する、すなわち、相違点(1)が開示されており、なおかつ、この特徴が証拠1において果たす役割は、係争特許においてその技術的課題を解決するために果たす役割と同じである。したがって、当業者は、証拠1と証拠3を組み合わせることにより、鮮やかなアニメーション形式でタッチガイドを提供する動機がある。

  さらに、相違点 (2) について、証拠8は、新着メール、着信、新着メッセージ等の異なるアラートイベントに対応するガイダンス画面を表示するという技術的特徴を開示しており、なおかつ、この特徴が証拠8において果たす役割は、係争特許においてその技術的課題を解決するために果たす役割と同じである。このため当業者は、新着メール、新着メッセージ等の異なるイベントについて証拠8が提供するガイダンスを、証拠3に組み込む動機がある。 

 
集佳がテクノジムに協力し、意匠権侵害紛争で全面勝訴

 

  事件の概要:

  特許権者であるテクノジムは、1983年に設立された、イタリアに本社を置く世界トップクラスのフィットネス機器メーカーであり、世界に14の子会社がある。生産するランニングマシンは「フィットネスマシンのフェラーリ」と呼ばれるトップクラスのフィットネスマシンである。本件で原告が保護を求めたのは、「スキルミル(Skillmill)」と呼ばれるランニングマシンである。

  山東藍徳は、生産、経営を目的に、型番「LD 925-A」と「LDT-925 A」、名称「925大画面ランニングマシン」と「925小画面ランニングマシン」の製品の製造、販売、販売の申し出を行ったが、これはテクノジムの第ZL 2016 30060042.4号、名称「フィットネスマシン(ランニングマシン)」の意匠と同一の製品に属し、全体の形状がほぼ完全に同一であり、係争意匠権を侵害するものである。

  集佳はテクノジムの依頼を受け、済南市中級法院に意匠侵害訴訟を提起した。

  法院の判決:

  済南中級法院は、一審で山東藍徳に対し、権利侵害行為を直ちに停止し、テクノジムの経済的損失の賠償を命じる判決を下した。山東藍徳は一審判決を不服として山東高級法院に上訴したが、同法院は審理の結果、山東藍徳の上訴請求は成立しないと判断し、済南中級法院の一審判決を維持した。

  法院の見解:

  本件において、係争意匠の製品はランニングマシンであり、被疑侵害製品と同一である。一般消費者の知的水準と認知能力から判断すると、被疑侵害意匠と登録意匠の両者の設計の特徴は、全体的な視覚効果において実質的な差がなく、類似していることから、係争意匠権の保護範囲に含まれる。「専利法」第11条第2項の規定によれば、山東藍徳公司が生産経営の目的でテクノジム社の係争意匠権を侵害する製品の製造、販売、販売の申し出を行うことは係争意匠権を侵害するものであり、同社は権利侵害を停止し、損害賠償の民事責任を負わなければならない。

 
集佳が代理を務める「Lafite(拉菲)ワイン」が、「拉菲オートミール」の阻止に成功

 

  事件の概要:

  フランスの「Lafite(拉菲)」ワインは名声が高く、ファンの間でもよく知られていて人気がある。「赤ワイン」商品を模倣するだけでなく、「赤ワイン」関連の食品や飲料業界でも権利侵害者による模倣が続出し、さらには「Lafite(拉菲)」を模倣した商標を出願することによる権利侵害行為の合法化が企図されている。

  本件被告は、本件の被疑侵害行為を働いた際に、第29類「ゼリー、豆乳、乳製品」等、および第30類「コーヒー、キャンディー、オートミール、豆乳」等を指定商品として、2件の「」商標を出願し、登録した。

  当方顧客は、当該2件の登録済み 「」商標について無効審判請求の手続きを集佳に依頼した。無効審判手続き、法院の一審と二審を経て、いずれも当方の勝訴の判断が下された。これにより、当該2件の商標は無効となった。

  上述の無効審判請求を進めるとともに、当方では、被告に対し、経営過程において、第29類「ゼリー、豆乳、乳製品」等商品、第30類「コーヒー、キャンディー、オートミール、豆乳」等商品に対する「Lafei」、「拉菲」等の被疑侵害標章の使用について公証、証拠収集し、法院に訴えた。

  法院の判決:

  広州市知識産権法院と広東省高級人民法院はいずれも次のように認定する。

  (1)被疑商標侵害行為の発生時、原告の商標第1122916号「」、商標第6186990号「」は、「ワイン」等商品において中国で知名度が高く、すでに関連公衆に広く知られているため、馳名商標(日本の著名商標に相当――訳注)と認定すべきである。

  (2)被疑侵害標章の「Lafei」、「拉菲」等の、第29類「ゼリー、豆乳、乳製品」、第30類「コーヒー、キャンディー、オートミール、豆乳」等の商品への使用は、原告の前述2件の馳名商標のコピー、模倣に該当し、原告の2件の登録済み馳名商標の商標権を侵害するものである。

  (3)被告は、被疑侵害ドメインのウェブページ上で被疑侵害商品を宣伝し、それを関連商品取引の電子商取引に使用し、関連公衆の誤認を容易に生じさせ、それにより原告の利益を損害したため、権利侵害を停止し、損害賠償の民事責任を負わなければならない。

  (4)被告の「合法的な出所」による抗弁理由は証拠不十分のため成立しない。

  このため、両審法院とも次のとおり判断した。

  (1)被告は、原告の前述2件の商標権の侵害行為を直ちに停止すること。

  (2)被告は、ドメイン名「www.lafeifood.com,www.拉非食品.com」を直ちに削除すること。

  (3)被告は、判決の効力が生じた日から10日以内に、Lafite(拉菲)に対し、経済的損失及び合理的な費用の損害賠償として計300万人民元を支払うこと。

  典型事例の意義:

  これも、先願馳名商標による後願商標の使用を禁ずる案件の典型例であり、後続の類似案件の処理の参考に供するものである。